平成24年秋の叙勲で当社取締役会長の桑名紀文が、旭日双光章を受章いたしました。
私たちがいちばん多く手がけているダイカスト製品は、車の部品のなかでも、特に耐熱性や耐摩擦性・強度が必要とされる重要保安部品です。これは、とても責任のある仕事だと、私は常々思っています。というのも、私たちがつくった部品を使って自動車が製造される。そして、それを買い求めるのは顔さえもわからないたくさんのユーザーの方々です。家族で休日に出かけるための車をお探しの方かもしれないし、恋人を車に乗せて喜ばせたいと思っている若い方かもしれません。車の部品が簡単に破損してしまうようであれば、そんな方たちを大きな事故に巻き込むことになります。それは起こってはならないことで、そのために私たちがしっかりと部品の品質を守っていかねばならないのです。
私の目の前にあるものは、車の形にさえなっていない一個の部品です。しかし、それを通して、完成した自動車やドライブを楽しんでいる人々の顔が思い浮かばないようであれば、この仕事に携わる資格がないのではないかと思います。
社員ひとりひとりが、私と同じような責任感をもって仕事をしているからこそ、重要保安部品が売上の70%にもなるほどの発注をいただき、信頼いただいているのだと思いますし、私はそのことをとても誇りに感じています。
自動車やAV機器、コンピュータ、携帯電話、ありとあらゆる商品が技術の進歩とともに、どんどん小型・軽量化してきています。ノートパソコンや携帯電話などが顕著な例だと思いますが、はじめのうちは最小だ最軽量だとうたわれても、ほんの短い期間でそれを上回る商品が登場し影が薄くなります。でも、こんな厳しい競争の世界に、私たちがつくるダイカストが大きく役立っているなんて、商品を使う方の中でどれだけの方が知っているかといえば・・・きっとほとんどいないでしょう。
商品が小型・軽量にそして薄型になればなるほど、中に使われる部品の軽薄短小化は厳しいくらいに追求されています。そんなニーズにお応えするのは、ひとことでは表現できないほど大変なことですが、達成できた時の喜びはそれにもまして大きなものです。
たとえば、中空構造のダイカスト製品。もっと軽くて強い部品はできないのか、というニーズから生まれました。これは新技術のPFダイカストによって、内部欠陥が少なく熱処理に耐えられる部品が製造できるようになったために実現した製品です。求められるものが厳しくなるほどみんなの団結も強まり、「よし、それならがんばってやってみようじゃないか」と挑戦する気持ちが盛り上がるので、これまでやってこれたのかもしれません。せっかくダイカスト製品をつくるという仕事についた以上は、より美しく強度があって、精密度の高いものをつくりたい!という野望(?)にはまだまだ終わりがないようです。これからもまだまだ、新しいご要望にお応えするためにうれしい悩みをかかえることになりそうです。
2年ほど前の朝礼の時に、「今日はISOのキックオフ大会を行います」と言われました。突然ISOと言われても何のことかよくわからず、いったい何をするんだろうと思いました。大会での社長や役場の方の話では、やたらに環境という言葉がよくでてきましたので、会社は何か環境に関することを始めるのだなと思いました。
話を聞いた後も、自分には直接関係なくて、会社の上の人間がすることだろうと思っていましたが、しばらくすると、いろんなゴミを分けて捨てるように言われ、捨てる場所も決められたので、めんどうな事になってきたなあと思いました。
そして「環境手帳」を配られました。そこには会社の環境方針なるものが印刷されていて、職場の環境目標、自分の環境目標が書けるようになっていました。職場については環境目標が書かれたシールを貼りましたが、自分の環境目標・役割はどうしようかと考えました。
そうするうちに、自分自身が今まで環境のことをあまり考えていないことに気づきました。車の窓から吸殻を捨てたり、ゴミ箱には紙くずも、空き缶も、ペットボトルも、分けずに何でもかんでも放り込んでいました。
職場の上司から環境についてのいろいろな話を聞いたり、職場のいろんな場所に『このような場合はこうすること』という貼り紙がたくさん貼られるようになり、少しずつ自分たちがしていることの大切さがわかってきた気がしましたが、自分の目標を決めるとなるとなかなか難しく、結局ゴミの分別を決められた通りキチンとすることにしました。そして、そのことを会社にいるときだけでなく、家にいるとき、外に出かけたときにも絶対に守ろうと思いました。
それからは、今まであまり気づかなかったのですが、結構ゴミ箱も内容を分けるようになっていることがわかりました。また、家にいるときでも、いらない電気をまめに消すようになっている自分に気づき、びっくりしています。みんなが少しずつでもいいからこんなことをしていけば、きっといい世の中になると思います。